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2010.05.27 *Thu

●○ いちごのおうち物語tr.13 ○●








+いちごのおうち物語 tr.13 溢れる気持ち

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千鶴の言葉にすいと視線を投げかけ、風早は爽子を見つめて、言った。






「・・・俺、黒沼のこと好きだよ。・・・覚えておいて」






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すっきりしない天気が続く。そろそろ梅雨にでもなろうとしているのかなかなか晴れ間を見せてくれない空を、爽子は恨めしそうに見る。


「・・・洗濯物も乾かないし、お花もお日様が必要なんだけどなぁ・・・」


ふぅ、とため息をついて庭に干しておいた洗濯物を取り込み、リビングから家の中へと入った。先日、爽やかな風の吹きぬける中ガーデンパーティをした日がとても遠く昔のことに感じる。ここ何日かの天気は、爽子の気持ちまでどんよりとさせるものだった。時刻は午後16時。爽子はそろそろ夕飯の準備を、と身支度をして買い物に出掛けた。





爽子が商店街で買い物をしていると、そこへ学校帰りの風早が通りかかった。


「くーろぬまっ!」


「わっ!か、風早くん・・・!お、お帰りなさい!」


「うん、ただいま!・・・それ、夕飯の買い物??」


風早は爽子が両手に抱えた荷物を指差して言った。


「あ、これは・・・2日分くらい、かなぁ・・・ちょっと買いすぎてしまって」


こんな大荷物で、お恥ずかしい・・・!という爽子に、風早は小さく噴き出した。


「恥ずかしくはないけどさ、黒沼、俺が買い出し当番だったの忘れてる?」


風早はそう言うと爽子の手から荷物を取り、歩き出した。


「あ・・・!風早君、重いので!私も持つよ!」


今や両手から荷物を奪われ身軽になってしまった爽子が慌てて風早を追う。


「だーめ!なんのための当番だよー。これから、こういう買い物するときは言って!」


楽しそうに笑いながら、風早は横に並んで歩く爽子に歩調を合わせる。ありがとう・・・と小さく呟く爽子を見て、微笑む。当たり前のように車道側を歩きゆっくりと歩みを進める風早に気付いた爽子は、少しだけ頬を染めた。


(風早くん、ゆっくり歩いてくれてる・・・。優しいなぁ・・・学校帰りできっと疲れているのに)


「黒沼、他にも買い物あるの?」


「あ、ううん、今日はもうこれで大丈夫!ありがとう・・・!」


「そっか!じゃあさ、ちょっとお茶でもしていこうよ。俺、喉乾いちゃって!」


学校が終わったと同時に寄り道をせず帰ってきた風早は、家に帰る前に、と爽子を誘った。


「え、で、でも、ご飯の支度が・・・!」


爽子は突然の誘いにびっくりして目を丸くする。風早は爽子らしい返答に思わず笑みをこぼした。


「ははっ、俺も手伝うからさ!大丈夫だよ!たまには、外の店もいいでしょ。山手にもいい店あるんだよ」


半ば強引に爽子を誘った風早は、ニコニコしながら目的の店へと向かった。




その時、道路を挟んで横断歩道の向こう側には同じく学校帰りの千鶴が信号待ちをしていた。


「・・・おっ、風早と爽子だ」


風早の大荷物を見るからに、買い出しかな?と見当はついたものの、2人ともなんだか頬を染め微笑みあいながら歩いている。


「・・・なんだあいつ、デレデレした顔しやがって」


千鶴はいつもはあまり見ることのない風早の笑顔を見て、背筋をぞわぞわさせた。


(あれか、爽子の言う”優しい風早くん”・・・)


ぱっと信号の色が変わる。どこへ向かうのか小さくなっていく2人と反対方向の家に向かって、千鶴は歩き出した。






-----






爽子と風早が喫茶店デートをし家に着いたのは17時半過ぎだった。爽子はすぐに夕飯の準備に取り掛かった。


「風早くん、荷物ありがとう・・・!」


風早は両手に持ったビニール袋をキッチンへ運んだ。どさっと荷物を下ろすと、爽子に向かって笑いかけた。


「こんなに買い出しするなら、俺も一緒に行くから!これからはちゃんと言って!」


風早は洗面所へと姿を消し、後には爽子と沢山の食材が残された。


(・・・お礼は、美味しいご飯で!早くしなきゃ皆もお腹空かせちゃうよね!)


爽子は流しで手を洗い、愛用のエプロンをつけると早速夕食の準備に取り掛かった。





その後皆続々と帰宅し、5人揃っての夕飯が終わった。風早は食器を流しへと運ぶ爽子に手伝うよと声をかけ、すっかり綺麗に平らげられた食器を一緒に運ぶ。


(・・・洗い物担当、あたしなんだけどなー)


そんな様子を見ていた千鶴は、なにやらイラッとして風早と爽子の間に割り込んでいった。


「はいはい、ごめんよごめんよー。悪いね運んでもらっちゃって!あとはあたしがやるからさっ」


「ちづちゃん!いつも、ありがとう・・・!」


「爽子だって、いつも美味しいご飯作ってくれてんだからいいんだよ!ほら、あっちでお茶でも飲んでなよ!」


「吉田、わりーな!よろしく!」


「お前、ろくな仕事してないくせに!こんにゃろ!」


千鶴は風早に悪態をつきながら、スポンジを取って洗い物を始めた。流しを離れた爽子と風早は、今度は皆の分の茶器を棚から取り出し、何のお茶にしようかなどと話し込んでいる。千鶴はそんな2人の様子を微笑ましいと思う反面、やけに爽子から離れない風早に対して小さな苛立ちを感じていた。


(風早のヤロー、爽子とベタベタしやがって!さっさと終わらせて邪魔してやる!)


ガチャガチャと荒っぽい音を立てて食器を洗う千鶴に爽子は少し不安を覚えながらも、食後のお茶の準備をした。


(お皿・・・!お皿割れないといいんだけれど・・・!)


お茶を入れた風早と爽子はリビングで待つ龍とあやねにカップを渡した。


「ありがと、爽子」


「いえ・・・!あやねちゃんコーヒーでよかったよね」


あやねは手渡されたコーヒーを啜りながら、にこりと爽子に微笑みかけた。


床に敷かれたラグの上で胡坐をかいている龍と、一人がけのソファに座るあやね。風早は開いているソファに腰を下ろし、爽子もその隣に座る。少し遅れて千鶴がリビングへ移動してきた。


「ちづちゃん、お片付けありがとう・・・!はい、どうぞ・・・!」


爽子は千鶴に紅茶の入ったカップを差し出した。にかっと笑って、それを受け取る。


「ありがとー!」


テレビを眺めながら少し眠そうにしている龍と、コーヒーを飲みながら一人本を読むあやね。爽子は相変わらず風早となにやら楽しそうに話している。


(~~~うーーん、なんだろうこのジリジリ感・・・!)


千鶴は一人、正体の知れない自分を悩ます気持ちと戦っていた。やがてそれは、風早と爽子をからかうことで発散させてしまおうという考えに辿り着いた。



「なっ、今日お前ら2人でどこ行ったんだよ!」


「「えっ??」」


いきなり話を振られた風早と爽子は、揃って素っ頓狂な声を出した。


「何よ、千鶴いきなり・・・」


千鶴はへへっと得意げに鼻をこすり、あやねに言った。


「あたし今日見ちゃったんだよなー!夕方、風早と爽子が2人で歩いているところ!」


爽子は見られていた・・・!と赤くなってきた頬を両手で押さえている。


「別に、買い物帰りに喫茶店に行っただけだよ」


風早は意外と落ち着いて答えてきた。何食わぬ顔をして、カップに入った紅茶を飲んでいる。それが逆に千鶴のからかい精神に火をつけた。


「別にってことはないだろ、別にってことはー!なんだよ、やらしーなー」


「ちょ、ちょっと千鶴」


やり取りを聞いていたあやねが、千鶴の言葉に思わず身を乗り出して静止に入ろうとした。


(今、それつつかないほうがいいんじゃないの??爽子がやっと自覚したばっかじゃん!)


そんなあやねの心中を全く察することはなく、千鶴は更に言葉を続けた。


「なー風早、最近なんか爽子にちょっかい出しすぎなんじゃないのー?」


「ちょ、ちょっかいだなんてそんな・・・!そんなこと、ないよ!千鶴ちゃん!風早くんは、荷物持ってくれたりほんと良くしてくれて・・・!」


顔をほんのりピンクに染め、慌てて千鶴の言葉を否定する。風早は無言で千鶴を見つめていた。珍しくひやりと剣を帯びた目をしているが、相変わらず千鶴はそんなことに気付く気配もない。


「風早、爽子のこと好きなんじゃないのー?なー?風早っ」


全く悪びれないでウシシ、と笑いながら言う千鶴に、あやねは思わず手を額にやって天を仰ぐ。そのままソファにもたれこんだ。龍は横目で千鶴と風早を見ながら、我関せずを決め込んでいる。
千鶴の言葉にすいと視線を投げかけ、一呼吸置いてから風早は隣に座る爽子を見つめて、言った。






「・・・俺、黒沼のこと好きだよ。・・・覚えておいて」






爽子は自分を見つめる風早から目が離せないでいた。いつもと少し違う、静かな笑顔。こんな風早は、あまり見たことがない。いつも、元気に心の底から楽しそうな笑顔を向けてくれる風早だったから・・・。風早は、テーブルにカップを置き、もう一度爽子を見た。びっくりして何も言葉を発することの出来ない爽子にもう一度微笑みかけ、膝に置かれた手に一瞬自分の手を重ねると、立ち上がってリビングを出て行ってしまった。爽子は呼び止めることもできず、ただその背中を見送るだけだった。後に残された4人の間に、重い空気が立ち込める。



「・・・こんのー・・・バカちづがっ」


あやねは千鶴の頬を片手で掴み、ブンブンと振るような仕草をした。


「あんた、なんてことすんのよ!余計なことしてくれて!」


「えっ、えっ、ひゃのちん・・・!」


千鶴は頬を掴まれたまま、あやねに許しを乞う。


ふんっ、とあやねは千鶴を解放し、ぐっと下から睨み上げるような格好で言った。


「あんた・・・こないだ爽子がやっと自覚したばっかでしょうが!まだこの展開は早すぎるっつの!」


「えー・・・だって・・・なんか風早のヤツが調子に乗ってたからさぁ・・・」


「えーじゃないっ!!」


あやねと千鶴がそんなやり取りをしている間も、爽子は呆然と風早の出て行ったリビングの入り口のほうを見ていた。


「・・・・・・・」


「・・・爽子・・・?」


その様子に気付き、あやねが恐る恐る爽子に声をかける。


「・・・わ・・・私、・・・」


(・・・す・・・好き・・?風早君が、私を・・・?)


うれしいというよりも、信じられない、という気持ちが大部分を占めた。爽子は、先ほど風早が手を重ねた自分の手をぎゅっと握って、静かにリビングを後にした。













truck.14に続く→→→→→→→→→










**********************




・・・前回のいちごのおうちはGW中だったようです。
大分間隔が開いてしまいました。楽しみに待っていてくださる方もありがたいことにいらっしゃるのに申し訳ありませんですー。芦屋トモです。こんにちは!



前回からすこしづつ話を進めようとしているのですが、今回大分進みましたwいや、でもまだあと・・・予定では6~7話・・・



思わぬ伏兵wによって告白してしまった流れは原作と同じなので書いていて全く違和感がないこの不思議・・・ベリハウスの癖に・・・wこの先は、パラレルのありがたさをかみ締める展開となる予定です。




芦屋トモ
2010.5.28
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