FC2ブログ
--.--.-- *--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2010.06.21 *Mon

●○いちごのおうち物語 truck.14 ○●



++ ↓設定や過去の話はこちら↓ ++
■ 目次 ■


いちごのおうち物語 tr.14 共鳴
******************************





風早は自室のドアに背を預け、深いため息をついた。


「・・・はー・・・」


先ほど1階で、よりによってあんな風に。
みんなの前で、思いのたけをぶちまけてしまった。
ほとほと自分に呆れてしまう。



「あーあ。・・・言っちゃった」



その場に腰を落とし、がっくりと肩をうなだれる。
売り言葉に買い言葉のような・・・あんなふうに言うつもりはなかったのに。
千鶴の言葉に触発されたとはいえ、別に素直に言う必要はなかったのに。



(・・・でも、もう言っちゃいたかったんだ・・・)



そう、それも事実なのだ。
重い体をなんとか奮い立たせ、風早は窓辺へと向かう。
窓を開けると、水気を帯びた夜風が頬をなでた。
見上げた空は黒々として重い空気をはらんでいた。
細く伸びた白い月が、仄かに地上を照らしている。


(・・・それにしても、明日からどうやって顔を合わせればいいんだ)



あんな風に言うだけ言って出てきてしまって。
あのあとリビングに残された4人は今どうしているんだろうか。



(・・・黒沼、・・・どう、思ったかな・・・)



ベランダの桟で両腕を組み、顔を埋めた。
出てくるのは、重たいため息ばかり。







-----







「・・・わ、私・・・」



風早からのまさかの告白の後、爽子は胸の前で両手をぎゅっと握りしめた。
ふらりと立ち上がり、リビングを後にしようとすると後ろから声がかかる。



「さ・・・爽子、大丈夫?」



「・・・え・・・?」



あやねの問いかけの真意がわからない爽子は、静かに振り返り聞きなおした。



「なんか・・・流れでこんなことになっちゃったけど・・・大丈夫・・・?」



その言葉を聞いた爽子はゆるゆると首を振った。



「・・・私じゃ、ないから・・・。多分、痛いのは風早くんの方だから・・・」



胸を痛めているのは、多分きっと・・・彼の方だから。
爽子は力なく微笑み、立ち尽くすあやねと千鶴、すわりこんだままの龍に向かって言った。



「・・・私・・・今日は、もう休むね」



おやすみなさい、と呟いて爽子はリビングを後にする。
残されたあやねは腰に手を置き、天を仰いだ。千鶴は、というと龍に掴みかかっていた。



「な、なぁ、龍!あたし、なんかまずいことしたかな??したかなぁ??」



「・・・ま、いずれ分かることなんだし・・・」



「!だよなぁ!だと思ってたんだよ!あいつヘタレだから!こうでもしないと・・・」



龍の言葉をいいように解釈し、いつものポジティブシンキングに切り替わった千鶴にあやねが釘を刺した。



「・・・まぁ、確かにそうかもしれないけど・・・爽子のあの様子見たでしょ。
好きだけど、好きって言うのは感じているけど、その先のことはまだ考えていなかったのよ・・・」



じっと床を見つめながら静かに話すあやねに、千鶴は何も言い返せなかった。



「だから・・・もう、余計なこと言わないのよ。ちょっと、ほっておきましょ。
私たちが介入したってこじれるだけだわ。・・・本人たちの、問題だからね」



千鶴もいつもの調子で2人のデリケートな部分に触れてしまったことを反省し、素直に頷いた。







-----







部屋に戻った爽子は、テーブルライトを灯し、ふわりと広がる温かな明かりに思考をゆだねた。思いだされるのは、風早が自分の目を見て真っ直ぐに放ったあの言葉。



『俺、黒沼のこと好きだよ』



爽子はベットにもたれるように座り、膝と額をくっつけた。
そのまま、コンコン、と額を膝で打つ。



(・・・私、何も言えなかった・・・)



爽子も風早が好きだと、自覚していた。ふわりと心地よい、でもなにかむずがゆいような。
そんな恋心を嬉しく思っていた。手が触れるとドキドキして、笑顔を見ると嬉しくなって。



「・・・うーーーーっ」



爽子は勢いよく立ち上がった。ぐるぐるとテーブルの周りを回り始める。



(私・・・!私は、どうしたいの・・・!)



考えれば考えるほど、深みにはまっていくような気がした。



(・・・嬉しい・・・嬉しいよ、だけど・・・)



どうしたら、いいんだろう?
・・・自分だってもう大学生だ。
想いが通じ合った男女がどうするか、くらい分かっている。



(・・・つ・・・つ、付き合ってください、って、言うの・・・?)



爽子は自分の想像で一瞬のうちに顔を赤く染めた。



(だ、だって、風早くんは・・・覚えておいて、としか言わなかったし・・・!)



そもそも、こんな風に悩むのが勘違い甚だしいのでは?
爽子の思考は、もはや好き嫌いの域を超えたところにあった。



(でも・・・!・・・あ、あれ・・・?よくわかんなくなってきた・・・!)



羞恥に体が熱を持ち始めた爽子は、夜風を求めてベランダへと向かった。
そこに、同じようにやりきれない思いを抱えた風早がいるとは露知らず・・・







-----






からり、と音が聞こえた気がした。
そこにいたのはたかだか10分程度だが、永遠にも似た時間を感じていた。
ベランダに頬杖をつき、眼下に広がる鬱蒼と茂る木々の葉擦れの音に耳を傾けていた時だった。
ふと隣のベランダを見ると、仄かに漏れる明かりとともに、爽子が外へと出てきた。



「・・・黒沼」



爽子はそこに風早がいるとは思ってもおらず、呼びかけられた声に振り向き、驚いて声を上げた。



「・・・か、風早くん・・・!」



風早は驚いた様子の爽子を見て、ふっと口元を緩めた。



「黒沼。さっきのことなんだけど・・・」



「・・・う、うん・・・」



さっきのこと。それはあの告白のことにほかならず、爽子は身を固くした。



「・・・あれは、俺の素直な気持ち」



風早は、爽子も自分に少なからず好意を抱いてくれているのではないかと思っていた。
世の男女がどうかは知らないが、少なくとも自分は好きでもない女の子に触れたいと思わないし
好きでもない女の子に触れられても、嫌なだけだと思っていた。


でも爽子は、手が触れても嫌がらなかった。
恥ずかしそうに頬を染めて、俯いたり。
顔を真っ赤にして、驚いて目を丸くしてみたり。
それは、嫌われてはいないというサインだと受け止めていた。
だからこそ・・・言えた、というのが本当のところだ。
あまりにも望みがないのならば、好きだということすらしなかっただろうから。



「・・・あんな、勢いで言っちゃったけど・・・本当なんだ」



爽子は自分に視線を感じながらも、風早を真っ直ぐに見返すことができなかった。
桟に手を置き、じっと前方を見ていることしかできなかった。
優しく囁くように言葉を紡ぐ風早の声に、耳を傾けるしか。
・・・爽子もまた、恥ずかしくて。


じっと動かないでいる爽子を見て風早は苦笑した。
自分がこうさせてしまっているのかと、申し訳ない気持ちさえしてきた。



「・・・でも、別にだからどうこうじゃなくて・・・」



「・・・」



「嫌なら言ってほしいし。・・・嫌じゃなくても言ってほしいけど」



矛盾してるな、と口元に手を当て苦笑いする風早に、爽子がようやく口を開いた。



「そんな・・・い、嫌、とかではなくて・・・!」



「・・・嫌とかでは、なくて・・・?」



風早はゆっくりと続きを促す。
少しでも本音が聞きたい、と、優しく微笑んだまま爽子を見つめる。



「風早くんの気持ちは、と、とても嬉しくて・・・」



「うん」



「それで、私はどうしたいんだろうって思ったら・・・」



「・・・わからなくなっちゃって?」



風早のその言葉に、爽子は今まで前を見ることしかできなかった視線を風早に移した。



「え・・・え?な、なんでわかって・・・」



「分かるよ!黒沼が考えそーなことだもん!」



風早は、当たりだ!と笑った。
桟に預けていた身を起こし、爽子と一番距離が近くなる場所まで、歩みを進める。



「黒沼。・・・ちょっと、来て」



爽子にもおいでおいで、と手招きをする。
断る理由もなく、吸い込まれるようにふらり、と爽子は風早に近づいた。
ベランダとベランダの空間は、腕一本分。


お互いの体温や呼吸すらも、もう少しで感じてしまいそうな、その距離。



「ん」



風早は、はいと言うように、爽子に片手を差し出した。
手を、乗せろというのだろうか。


爽子は少しためらいながら、おずおずとその右手に自らの左手を重ねた。



「・・・なにも、しなくていいんだ」



少し身を乗り出した風早は、自分の方へと爽子の手を引いた。
ぎゅっと掴んだ細くてしなやかなその手の甲へ、頬を寄せる。
目を閉じてしばしそうされているうちに、爽子の羞恥心も薄らいでくる。
爽子は目の前の風早を見つめ、その手から伝わる温度に安堵感を覚えた。



(・・・前にも、こうやって手を握ってもらった気がする・・・)



爽子の口元が自然と笑みの形を作り出した。
月明かりの下、やわらかな風に長い髪を泳がせながら微笑む爽子。
風早にはとても美しいものに見えた。掌中にあるこの手を、とても愛おしく思った。



「・・・なにもしなくていい。だから、覚えておいてって言ったんだ」



風早はもう一度ぎゅっと爽子の手を握り、その甲に軽く唇を落とした。



「・・・!」



「・・・今は、ね。それでいい」



握っていた手の力を緩め、風早は爽子の手を名残惜しそうに手離す。
爽子は離された左手を右手で包むように握り、頬を染め風早を見た。
静かに佇む風早も、漆黒を持つそのやわらかな髪を夜風にふわりと踊らせていた。
爽子の視線に気づき、優しく微笑む。



「・・・わかった?」



「・・・う、うん・・・多分・・・」



「多分かぁ。多分じゃ困るなー」



「えっ、えっ、でも・・・」



「俺、黒沼が好きだよ。それだけ知っといてってこと!」



もう一度階下で言った言葉を繰り返した風早は、じゃあ、といって踵を返す。
部屋へ入る窓を開けた時、爽子が風早を呼びとめた。



「か、風早くん・・・!」



部屋に入りかけた風早はその呼びかけの声に顔を向ける。
今夜の月は細すぎて、爽子の表情までは照らし出してはくれないが・・・
うっすらと頬を赤く染め、自分の両手を握ったその姿勢のまま爽子が言った。



「あ、ありがとう・・・。おやすみなさい・・・」



「うん!おやすみ、黒沼。・・・また、明日な!」







風早が部屋に入るのを見送り、爽子は改めて自分の手を見つめる。
さっき風早の唇が触れた、その場所が熱を持っているような錯覚に陥る。
そっと隣のベランダが一番近くなる場所から離れ、爽子は月の揺れる夜空を見上げる。





―お互いが触れた個所に蕩けるような熱を感じながら、2人の夜は更ける・・・













tr.15に続く・・・







******************************








お久しぶりすぎてすみません。
やっとシリーズ再会できるかな・・・
芦屋トモです。こんにちは。



前々回から前回がご無沙汰過ぎてもうこんなに間を空けるのはダメ!と
自分自身誓ったはずだったんですがどこに行ったんだろう誓い(・∀・)
本当にすみません。千里の道を行く蟻のように歩みが遅いのです・・・。


今回、前回の緊急告白からさてどうやって話を元に戻そうかと思案してまして。
じつは前回告白するはずじゃなかったっていうw
あのままいきなりなにもなかったかのように新たな話に行ってもよかったんですが
自分的に補完したくて今回の話となりました。


いろいろ拙くて伝わりきらないこと必至ですが、お読みになる方が
それぞれ妄想して下さったらいいかなーと・・・w他力本願な心境です。


本編と逆バージョンの「なにもしてくれなくてもいいの」を引用してみました。
他にもちょこちょこリンクさせたけどすべては登場人物たちのイメージを崩しすぎないため・・・!
いや、ちょっと余裕のある風早くんな時点で崩してる気がする。
あ、でも彼氏になってから余裕太だから素質はあるのか!




それでは。次回更新はtr.15の予定です。




芦屋トモ
2010.6.21




スポンサーサイト

COMMENT

Comment Form


秘密にする
 

TRACKBACK

TrackBack List


*あなたは・・・
番目のお客様です*

プロフィール

芦屋 トモ

Author:芦屋 トモ



●○●○●○●○●○●○
【君に届け】二次小説を
描いていきます。
たまにイラストも描きます。
普段はジュエリー屋さんで
程々に働いてます。
●○●○●○●○●○●○

・・* トモへの連絡はこちらから *・・



・検索エンジン登録しています!!
↓↓ 素敵サイトさま沢山ですよ! ↓↓

君に届けRING



つぶやくかは謎
twitter



最新記事



最新コメント



最新トラックバック



月別アーカイブ



カテゴリ



検索フォーム



RSSリンクの表示



リンク

このブログをリンクに追加する



QRコード

QRコード



10
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
Copyright © *+*+ Honey Sweet +*+* All Rights Reserved.
テンプレート配布者: サリイ  ・・・  素材: bee  ・・・ 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。